9.01.2006

どういたまして。

「どういたまして。」

これは、「どういたしまして」の ”た” と ”ま” の間の「し」を抜かしただけの言葉である。

友人・知人の仲間内で使用するには 何の問題も無い。時と場所にもよるが、普段使っていても平気な略語だと思う。

知人の娘さんに言わせれば、「”どういたまして” じゃなく、”どういたしまして” でしょ!!」と、鋭い突っ込みが入る。もっともだろう。

だが、自分にとってこの「どういたまして」は、忘れられない言葉なのである。

数年前、自分には仲の良い”飲み友達”が存在した。

自分より9歳年上であったけれど、カッコイイ男だった。顔がカッコイイとか、スタイルがいいとか、そんな表面的な格好良さではなく、内面的に格好良かった人だった。

どういたまして。」は、彼がよく口にしていた言葉であった。

ある時、地元のスナックで知り合い、それからも何度か顔を鉢合わせするようになると、プライベートで飲む機会も増えるようになり、お互いの行きつけの店に誘う様な間柄にまでなった。

自分は東京全日空ホテルのバーだったり、その人は二駅先のスナックだったり、毎回美味しい酒が飲める機会でもあった。

北海道旅行に行った時に買ったお土産の毛蟹を届けたら、「今晩届いた毛蟹を食べるから、家においで」と、誘いの電話を受けて、一緒に食べさせて貰った思い出もある。

女性問題とかもつれ話とか、色々な話題でお互い話し合った気がする。
二人共通の知人の結婚式にも同席した事もある。

それなのに・・・

ある年の正月(1月2日)に、彼の弟さんから1本の電話が入った。


「兄貴死んじゃったよ。先日(元日の1日)に船橋港に車で落ちて。」


「えっ・・・?!」
耳を疑った。いつもの通りに出勤したのに何故? と。


後から詳細を聞くと、いつも止めている駐車場の場所に他の車が停めてあったため、仕方なく別の場所に停めたらしい。車止めが無いのを知らずにバックで車を進めていた。
車止めの無い先は、海(船橋港)なのに・・・。

いつもの時間に家を出て出勤したにも関わらず、職場に来ていないと、同僚から自宅に連絡が入ったのだという。

同僚が近辺を探したところ、ある一人が「車が海の中に転覆しているぞ!!」と叫び、発見された時には、電話確認してから2時間以上経過していた。すぐに消防のレスキューに連絡したが、時既に遅かった。

彼は海に落ちた車の中で亡くなっていた。バックで車を進めていた彼は、車止めの無い所でそのまま海に車ごと転落したのだ。
しかも、シートベルトをしたまま・・・。
もし、シートベルトを外してバックしていれば、もしかして・・・・・と考えるのだが、今となっては・・・。

何故だろう。彼の命日でもないのに、「どういたまして」の言葉が妙に口から発せられる。

今では、職場の仲間も気軽に「どういたまして」を発する。

ギャグではない。ギャグで捉えられる場合はそれはそれでいいと思う。

これからもこの言葉を自分は発していくんじゃないかと思う。




太郎ちゃんを想って・・・。

posted by onsan @ 08:23   0 comments

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